無効等確認の訴えとは?
そして、無効等確認の訴えとは、処分若しくは裁決の存否又はその効力の有無の確認を求める訴訟です。
以前勉強した通り、行政行為には公定力があります。そのため、取り消しがあるまで、行政行為は有効となります。しかし、その行政行為に重大かつ明白な瑕疵があるときは、公定力はなく、取り消し手続きをしなくても、当然に無効なので、行政行為の効力は生じません。
言い換えると、無効な処分なので、取消し自体出来ないです。そのため、「処分は無効ですよね!?」と確認することができるわけです。
例えば、Aさんが不動産を取得していないにも関わらず、Aさんに対して不動産取得税の課税処分の通知が来たとします。その場合、重大かつ明白な瑕疵と言えるので、無効等確認の訴えを提起することができます。
重大かつ明白な瑕疵とは?
- 行政行為の違法性が重大であり
- 行政行為の違法性の存在が明白であるということです。
1の重大性は、相手方の事情などを考えた上で、個別的に判断します。
2の明白性には、一般的に外観から見て当然分かることを言います。
この点は行政書士では、それほど重要ではないので、「重大かつ明白な瑕疵がある場合、行政行為は無効である」と覚えていれば十分です。
そして、無効等確認の訴えには、予防的無効確認の訴えと補充的無効確認の訴えの2つがあります。
| 予防的無効確認の訴え | まだ処分されていないけど、処分されると損害を受ける恐れがある場合に行うもの |
|---|---|
| 補充的無効確認の訴え | すでに処分されていて、現在の法律関係の確認を求める訴えでは目的達成ができない場合に行うもの |
予防的無効確認の訴え
処分や裁決に続く処分によって損害を受ける恐れのある場合、予防的無効確認の訴えを提起できます。
例えば、上記不動産取得税の課税処分があり、この課税処分に続いて滞納処分が課せられる場合、損害を受けることになります。この場合、Aさんは、課税処分の無効確認の訴えを提起でき、無効確認の判決をもらうことで、納税義務を免れ、かつ滞納処分による損害の発生を予防することができます。
これが、予防的無効確認等訴訟です。
予防的無効確認の訴えの要件
「処分や裁決に続く処分によって損害を受ける恐れのあること」が要件です。
補充的無効確認の訴え
処分や裁決の無効確認を求めるに法律上の利益を有していて、かつ、現在の法律関係の確認を求める訴えでは目的達成ができない場合に提起できます。
分かりづらいですが、考え方としては、「現在の法律関係の確認を求める訴えでは目的達成ができない」から、補充的な(追加の)救済手段として「無効確認の訴えを行う」ということです。